「はぁ………あ……。」
待ち望んだ解放に、マッドは四肢を弛緩させ、卑猥な皺の寄るシーツの上に沈みこむ。己が、局
部と敏感な部分を隠すだけの姿である事も忘れ快感の余韻に浸る姿は、まだ足りないと誘っている
ようにも見える。
少なくとも、嫌がっている素振りには見えないそれに、サンダウンは喉の奥だけで笑った。
マッドは凌辱の手が止まった今、快感に酔いしれる頭でこれで終わったと考えているだろう。し
かし冷静に考えればそれで終わるわけがないのだ。たった一度の遂情で解放する掠奪者など、いる
わけがない。
しかも。
サンダウンは、じっとりとマッドの開かれた脚と喘ぐ胸を眺め回す。艶めかしく乱れたマッドの
身体は、男を煽るには十分な色をしていた。そんな身体を、一度の凌辱で手放す人間はいないだろ
う。
更なる堕落へと誘う為、サンダウンの手はマッドの濡れた秘所へと滑っていった。
逆鉤
短い息を吐いて、とぷとぷと精液を垂らしたマッドは、ひくひくと身体を震わせている。吐精の
後の倦怠感に身を委ねる身体は、サンダウンが再び銃口を這わせ始めても、何一つ反応しなかった。
薄い布一枚を纏って、呆然と息を吐いているマッドに、サンダウンは小さく囁く。
「そんなに、良かったか………?」
「んっ……。」
耳元に吹きかけられた吐息にさえ過剰に反応するマッドは、ややした後、ようやく快感に浸る思
考回路で言われた言葉の意味を理解し、頬を赤く染めた。きりきりとサンダウンを黒い瞳で睨みつ
けるが、先程まで喜悦に歪んでいたそれでは、何の迫力もない。
しかし、気の強い眼差しが衰えていない事は、サンダウンの嗜虐心をそそる。負けん気の強い賞
金稼ぎが、遂には快感に屈する様は、いつもサンダウンに途方もない満足感を与えてくれる。
しかも今のマッドは、普段からは考えられない恥辱を与えられているのだ。煌々と照らす明りの
下で肌を曝し、その肌は黒いエプロンだけで覆われるという恥ずかしい姿をさせられている。両手
は抵抗出来ないように封じられ、両脚は閉じられないようにと荒縄で固定されて、日に曝される事
のない白い内腿を露わにしている。
それでも強気の視線を向けるマッドに、男なら誰でも、この後更なる辱めを与えたくなるだろう。
「こんなに濡らしているんだ。感じたんだろう?」
「う、黙れよ………っ!」
エプロンの卑猥な染みを作った部分を撫で上げれば、マッドは歯を食い縛るようにして、責める
言葉と指先に耐える。その様子に、
「さっきみたいに、素直になったらどうだ………?」
とサンダウンは身体に乗り上げ、首筋に吸い付く。マッドがその感触に慄き悲鳴を上げると、そ
こには赤い痕がくっきりと残る。西部の男にしては白い肌には、こうして綺麗に痕が付く。それは
口にした事はないが、サンダウンにとってはお気に入りの一つだった。
「ふっ……ふぅん……っ。」
サンダウンの下に頤をなぞられ、マッドは鼻から抜けるような声を上げる。そっと胸に手を這わ
せると、先程までの激しい責めに怯えてか、マッドは身体を固くした。
「なんだ、私に触れられるより、銃でされるほうが、良いのか?」
快感に怯えるマッドに、わざと見当違いの事を囁けば、マッドは首を激しく横に振って、違うと
呟く。だが、サンダウンがそれに頷く事はない。薄く笑って、マッドの額にピースメーカーの銃口
を押し付ける。
いつもなら鋭く睨み上げて、それでも口元に皮肉な笑みを浮かべる白い顔は、今はただ頬を震わ
せて、涙の堪った睫毛で縁取られた瞳で、それを見つめるだけだ。薄く開いた唇からは、嬌声の残
る喘ぎが零れ続けている。
誘うようなマッドの表情に、サンダウンはゆっくりと銃を額から鼻先へと下ろしていく。
「ああ………や………。」
自分を嬲った銃口に顔をなぞられ、マッドは小さく顔を背けて吐息を零す。しかし顔を背けた事
で頬から首筋までのラインを露わにするその仕草は、逆にもっとして欲しいと強請っているようだ。
それに従ってサンダウンが、銃口を頬から頤へとなぞらせれば、マッドの口からは切ない喘ぎが止
まらなくなる。
濡れた唇からは涎が糸を引き、それを銀色の唇で拭い去れば、マッドは耐えかねたように眼を閉
ざす。それを合図として、ピースメーカーはマッドの唾液で濡れて光る唇に口付けた。
「ん、あ……ふっ………。」
冷たい銃口は、やはりマッドの身体と温度差があり、その温度差にマッドは再び敏感になってし
まう。
舐めるようにマッドの唇を余すところなく触れていく、冷たい口付けに、マッドは眉根を寄せな
がらも夢中になっていた。だから、低い声が短く命じても、なんの拘りもなく頷いてしまった。
「口を、開け。」
「ん…………。」
「良い子だ…………。」
そっと開かれた唇に、サンダウンはそっと囁き、しかし声音とは裏腹に冷たい銀色は、微かに開
かれた唇を更に広げようと身体をねじ込み、マッドの歯列を抉じ開ける。容赦のない口腔への侵入
に、驚いたマッドが眼を開いても、それはマッドの舌を押え込むと喉を突くほど奥へと入り込んだ。
「うぐっ………んっふ……!」
苦しげにマッドが呻くと、銀の銃身はマッドの吐息で白く曇った。マッドが喘ぐたびに、磨かれ
た真鍮は、まるで精を放つように白く曇る。
「…んん……うぅん…ふぅ…っん……」
喉奥まで入り込む銃口に苦しく喘ぎながら、しかしマッドはいつしか銃身に舌を絡め始めていた。
サンダウンの指が、後少しでも動けば、マッドは口と後頭部から血を吹き上げながら斃れるだろ
う。裸に剥かれ、犯され、いつ殺されるとも分からぬ状況だと言うのに、マッドはこの異常な状態
で、再び感じ始めていた。
そして、マッドの身体の変化には、当然、サンダウンも気付いている。銃身で上顎や口腔を押す
たびに、マッドが眉根を寄せながらも、その表情に喜悦を浮かべているのを見て、サンダウンは口
角を持ち上げた。
「…………お前は、本当に、どうしようもないな。」
そっと布越しに、マッドの欲に触れながら、その耳元で囁く。
「また、濡れ始めているぞ………。」
「んふっ…ぁふっ…!!」
その台詞に、マッドは逃れようと身を捩るが、しかし喉奥まで咥え込まされた銃身がそれを許さ
ない。マッドの行動を封じるように舌を抑え、サンダウンは更にマッドを追い詰める。
「これが、気に入ったのか?それとも、このまま撃ち殺されたいのか?鉛玉を身体の中に入れて欲
しいのか?」
「んやっ………!」
マッドはサンダウンの言葉に、睫毛に降り積もっていた涙を零し、しかしそれでも銃身に唇で吸
い付く。まるで、男に奉仕するような姿だというのに、マッドもサンダウンの言葉に辱められてい
る事を理解しているはずなのに、マッドはその行為を止めない。
マッド自身、自分がどうしてこんなにも昂ぶっているのかが分からない。ピースメーカーの銃身
を口に加えているだけなのに、何故こんなにも感じているのか。真鍮の筒は味などせず、いつそこ
から銃弾が放たれてもおかしくない。誤れば死を免れない状態であるにも拘わらず、マッドはそれ
に夢中になってしまう。
追いかけている賞金首に凌辱され、いつも軽くあしらわれている銃口に嬲られて。
もしかしたら、だから――今まで本気で自分に狙点を合わせる事のない銃口が、自分を徹底的に
犯しているから――こんなにも悦んでいるのかもしれない。
そんな事を考えているうちに、マッドの口から銃身が抜かれ、銃口も離れていってしまう。マッ
ドの唾液を纏ったそれは、マッドの唇との間に銀色の糸を細く引いた。離れていった銃口との繋が
りを少しでも保っていようと、マッドは光る淫猥な糸が震えないようにと眼線をそこに固定し、じ
っと見つめる。
その様子は、傍目から見れば銃口の蹂躙にうっとりとして、更なる凌辱を求めているように見え
る。
「………あ。」
サンダウンが身動きした際に、途切れてしまった糸に、マッドは小さく声を上げる。その声と切
ないような眼差しに、サンダウンは小さく苦笑した。
「そんなに、物欲しげに見るな………。」
お前の望み通り、撃ち抜いてやるから。
そう告げて、サンダウンはシリンダーを回して、そこから一つ一つ銃弾を取り除いていく。ラン
プの光を受けて、ちかりと金色に光る鉛玉を、マッドはぼんやりと眺める。
六つ目の銃弾を取り出すと、サンダウンはピースメーカーをシーツの上に投げ出し、代わりに銃
弾を手にマッドの身に屈む。何をするのか、とマッドが定まらない視線で眺めていると、その武骨
な指は一つの銃弾を見せびらかすようにマッドの前に翳した。そして、マッドの唇に押し当てる。
「少し、咥えていろ。」
そう命じてマッドの唇の隙間に挟み込ませる。マッドが大人しく咥えるのを見て、サンダウンは
拘束していたマッドの両脚を、ようやく解放した。
が、大きく開いたそこが閉じないように、左脚を自分の脚で押さえ、右脚は持ち上げるように抱
え上げる。その拍子に、エプロンが捲れ上がり、隠されていたマッドの局部は、彼の体内へと通じ
る門も含めて完全に露わになる。
再び立ち上がり、液をだらだらと流す欲望と、その下で先程吐き出された精によって濡れている
後孔。まだ触れられていないそこは硬く閉じているが、濡れている所為で淫卑な色になっていた。
それを満足そうに見下ろし、サンダウンはマッドに咥えさせていた銃弾を再び手にする。
そして、マッドの吐息を受けて少し温かくなったそれを、濡れたマッドの秘所に押し当てた。
「ひぃぃいっ!」
ぐぷん、と入り込んだそれに、マッドは引き攣れたような声を上げる。慣らされていない場所に
押し込められたにも拘わらず、小さなそれは気味の悪さを伴うだけで、痛みはない。
しかしそれが何なのかも相まって、マッドは切れ切れの悲鳴を上げた。
「い、いやっ!嫌だっ!」
しかし、サンダウンの指は、銃弾を勝手には吐き出せないほど奥まで呑み込ませる。そして、し
ばらくの間、マッドの体内で銃弾をコツコツと叩いたりして、マッドの様子を窺っていた。
マッドはといえば、その微妙な振動に、ビクビクと震えた。慣らしもしない身体の奥に入れられ
たそれが、気持ち悪い。しかし、嬲られていた身体は――それが銃弾だという事も関係しているの
か――次第に熱を帯びて銃弾の形を描き出す。
「あっ……あぅ、んあっ。」
やがて、ひくつき始めたマッドの後孔。それを見て、サンダウンは銃弾をマッドの中に残したま
ま指を引き抜く。その指で、もう一つ銃弾を摘まみ上げ、再びマッドに押し当てる。
「ああぁっん……!」
あっさりと呑み込まれた銃弾は、サンダウンが何をするわけでもなく、マッドの体内の収縮によ
って奥へと移動する。その動きが擦れを生み出し、マッドは銃弾を呑み込んでいる部分から蕩けそ
うになる。
だが、そこに三発目の銃弾が撃ち込まれる。
「ふぁあああっ!!」
最初に入った銃弾を、後から来る銃弾が更に奥へと押しやる。きしきしと互いにぶつかり合いな
がら侵入を果たす鉛玉に、マッドは身悶える。そこへ、更に銃弾が増やされ、マッドは更なる悲鳴
を上げる。
「んあああ―――っ!!」
「………まだ、入りそうだな。」
「いぁぁぁあああ────!!」
狭い身体の中で、銃弾は我先にと鬩ぎ合っているかのように場所を移動しながら、マッドの奥を
交代しながら犯し、過敏な壁を擦り上げる。ぐちゅぐちゅと水音を立てているのは、犯される事に
悦ぶマッドの秘所だ。そこからはとろとろと愛液が零れ始めている。
受け入れる為に、女のように濡れる自分の身体に、マッドは咽び泣く。だが、マッドをそんな身
体にした男は、容赦なく六発目の――そして最後の――銃弾をマッドに撃ち込む。
「はあああぁぁぁぁぁっ…!!」
銃弾が最奥を抉り、同時にその他の銃弾がマッドの一番感じるところを回転しながら押しつける。
びくびくとのたうつマッドは、しかし銃弾の動きを増長させるかのように、中を収斂させる。
「はぁ、はあ、ああ、ああ……っ!」
指でされるのとは違う、もどかしく、しかし身の置き場のなくなるような刺激に、白い肌が染ま
り、脚の間では瑞々しい屹立が、出口を求めるように揺れ動いている。マッドは銃弾に穿たれ、犯
される身体をくねらせた。
「もぅ、もうぅ、いやぁあ…………。」
ぎしゅ、ぎしゅ、と音を立てながら場所を入れ替え、マッドの内部をじわじわと責め立てる六発
の銃弾。マッドが感じて締めつけるたびにそれらは激しく動き、マッドを撃ち抜く動きを速める。
するとマッドは更に善がり狂い、銃弾を奥に引き込もうと動いてしまう。
「ああっ…あああっ、ひぃぁあああっあっんっ。」
泣き叫ぶマッドを、サンダウンはうつ伏せにすると、尻だけを高く持ち上げる。抱え上げられた
張りのある引き締まった尻は、男を嵌めこまれているかのようにくねり、銃弾を呑み込んだ秘部は
赤く染まって液を溢れさせていた。
「………そんなに良いなら、しばらく、そのままでいるか?」
「あっ…あっ……そんなっ………もう、無理ぃ………っ!」
ゴリゴリと感じるところを銃で代わる代わるに刺激され、それだけでもう奥がどうしようもない
ほど疼いているのに、そんな状態で放置されたら、どうにかなってしまう。
マッドは眼から幾筋もの涙を流しながら、首を打ち振るう。
だが、そんなマッドに、サンダウンは非情な言葉を投げかけた。
「そうだな………銃の手入れが終わるまで、そうしていろ。」
「や、いやぁああっ!」
熱の籠った身体を慰める事も出来ないマッドは、高く鳴いて、涙を零した。