人物
ラウニヴァディーズに過去に生き、そしてこれからを生きる人々
精霊王 エリシェ
600年ほど前に転生した精霊の長。歴代の精霊王と同じく世界を揺るがすほどの力を持つが、人前にその姿を現す事はほとんどない。100年に一度の霊祭の
時のみ、各種族の代表者の前にのみ姿を見せる。
ただし、500年前の神族と人間による魔族虐殺の際は例外であり、その姿を魔族と神族、人間の前に現し、神族と人間の守護精霊を剥奪した。また、生き
残った魔族の王子を匿うなどもしている。
姿を見た者によると、その容姿は端麗であり、また凄まじい力を持つことから、彼の庇護、寵愛を受けたいと思うものは少なくはない。前述の500年前の
神族達の行動も、こういった感情が複雑に絡み合って発生したとも言われている。
光の精霊 ルクオーゼ
神族の守護精霊であり、光を司る。人前に現れる時は白く輝く少女のような姿をとる。
原初に生まれた精霊の片割れであり、同じく原初の精霊である闇のメルク―ムには絶筆しがたい感情を持っている。この感情が神族の魔族虐殺を許し、
結果、ルクオーゼは守護精霊としての立場を失い、今現在も精霊王の造り上げた牢獄に置かれている。
闇の精霊 メルク―ム
魔族の守護精霊であり、闇を司る。フードを被り仮面で顔を隠した姿、または若い男の姿で現れる。
原初に生まれた精霊の片割れであるが、実際にはメルク―ムのほうが先に存在し、ルクオーゼが生まれた事により精霊としての意思を持ったと言われて
いる。また、いつの時代かに人の魂と混ざり合ったこともあるとされるが彼の口からは何も語られない。
500年前にルクオーゼと火の精霊フレミアの攻撃を受け負傷、しばらくの間は月の精霊のもとで傷を癒していた。現在は魔族の守護精霊として復帰してい
る。
樹の精霊 ダリュア
エルフの守護精霊であり、樹々を司る。緑の髪に花冠をした女性の姿で現れる。
生命の一端を担う精霊であるため、他の精霊よりも人々の前に姿を現すことが多いが、一方で非常に臆病であるため出会えたとしても会話を成せるかは
分からない。
アルミナ大帝国の亜人虐殺の際はエルフ達と共に消え失せようとしていたが、ヴィグゼリアによって救われ、ウアニル大陸に安住の地を見出した。
月の精霊 リュミル
ダークエルフの守護精霊であり、月を司る。黄金に輝く婦人の姿、もしくは銀髪の処女の姿で現れる。
夜の深い闇と関係のある精霊であり、闇の精霊メルク―ムとも繋がりがある。メルク―ムが負傷した時、彼を真っ先に保護したのはリュミルである。
彼女がいるとされる闇の森は、かつて一人のエルフが闇深い洞窟に入り、メルク―ムに触れた際に闇の力を地上に持ち帰ったことで形成されたとも言わ
れている。この時に闇の力を持ち帰ったエルフがダークエルフの祖ではないかと言われているが定かではない。
雷の精霊 スフィーグ
竜の守護精霊であり、雷を司る。薄い布を纏った少年の姿で現れる。
ドラグーンバレーに竜達と共に住んでおり、その姿はまず見る事ができない。しかしある者は、天を駆ける稲妻こそがスフィーグそのものであるとも言
うが、分からないのが現状である。
天にある精霊であることからルクオーゼとの関係も示唆されるが、しかしルクオーゼの魔族虐殺には一切拘わっていない。謎多き精霊である。
風の精霊 エアシュト
妖精の守護精霊であり、風を司る。若く細身の男の姿で現れることが多い。
風の精霊という事もあってか、ダリュアと同じく人々の前に姿を見せることが多い。しかし気まぐれで彼との会話を成り立たせることは非常に困難であ
るという。
しかし身近に存在する精霊であるため、妖精の守護精霊ではあるが他種族からも信仰されていることが多い。
土の精霊 ノルフザ
ドワーフの守護精霊であり、土を司る。ドワーフの如く小柄だが屈強な老人の姿をしている。
大地全てが彼の領域だが、彼がその姿を置いているのはドワーフ達が数多く住むドゥエルギア鉱脈だというが、そこへ向かってもノルフザの姿を見るこ
とは難しいだろう。彼は非常に頑固で、ドワーフ以外の種族の前には滅多に姿を現す事はないと言われているからだ。
大地について彼の知らぬ事はないと言い、魔界への扉、そしてかつてルクオーゼが発現しメルク―ムが意思を持った闇の洞窟の場所も知っている。
水の精霊 ウォニシュ
海人の守護精霊であり、水を司る。踵まで届く水の滴る髪を持つ美女、または男の船乗りの姿で現れる。
ダリュアやエアシュトと同じく、人々の前に姿を現す事が多く、最も信仰されている精霊でもある。
この世にある水全てはウォニシュの眼であると言われるほどに、彼の知識は深く、海の奥底についてまで知り尽くしているが、彼がこの知識を人々に教
えることは滅多になく、あるとすれば精霊王エリシェの命令であった時のみである。
氷の精霊 アイオート
獣人の守護精霊であり、氷を司る。真っ白な美しい男、もしくは女の姿で現れる。
ウォニシュが流れる水を司っているのに対し、アイオートは凍てつき時の止まった氷を支配する。彼の記憶は全ての過去を刻んでおり、この世にある氷
の何れかはアイオートの記憶の結晶であり、割れば過去の記憶を目の当たりにできると言われている。
また、アイオートの氷は魔界の最も深い部分にまで根を張っているとも言う。
炎の精霊 フレミア
人間の守護精霊であり、炎を司る。赤い巻き毛の男の姿で現れる。
最も弱き種族に力を与えた精霊であり、その力を借りて人間達は文明を発達させ、全世界にその分布を広げた。しかし五百年前にフレミアは勇者と聖女
に炎の力を与え、それによって魔族を虐殺した。
フレミアはルクオーゼ共々、精霊王エリシェに捕らえられ、今もまだ牢獄に封じられている。
ヴィグゼリア
1000年前アルミナ大帝国を崩壊させ、ズルワーン王国、ヴィグゼリア連合国を成立させた「魔王」と呼ばれる人物。ただし彼自身は魔族ではなく、ただの
人間である。しかし非常に魔力に優れ、アルミナ大帝国の軍勢を一人で炎で薙ぎ払ったとの伝説も残っている事から、精霊から何らかの力を得たのではな
いかと推測されている。
彼は従者にダークエルフを連れており、このダークエルフが彼の事を「魔王」と呼んでいたため、ヴィグゼリアはその後も「魔王」と称されることになっ
た。
アルミナ帝国崩壊後、彼はヴィグゼリア連合の首都のあるヴィグゼリア島に住み、そこで他種族の受け入れを進めた。晩年もそこに住み続け、彼の遺骸は
今もその地に安置されている。
ザーシェオン
ヴィグゼリアの従者であるダークエルフ。彼とヴィグゼリアの出会いはどの書物にも記載されていないが、ダークエルフである彼が人間であるヴィグゼリ
アを慕っていたという記述はあちこちに散見される。それは亜人として憎むべき帝国を滅ぼしたから、というだけではないようだ。
一部書物によると、ザーシェオンは亜人にとっての裏切り者であるエルフを誘き寄せて亜人達に殺させ、その亜人達もアルミナ帝国の兵士達と殺し合わせ
たとの記述がある。これは彼がダークエルフであり、アルミナ帝国だけではなく他の亜人からも迫害されていたため、どちらも滅びるように仕向けたので
はないかと推測される。
しかし人間であるヴィグゼリアには従順であり、彼の命令で他種族国家の建設に尽力していた。
ヴィグゼリア死後、その遺骸に重なるようにして死んでいるのが発見されている。
ルシエード
通称「裏切りのエルフ」。
かつてアルミナ大帝国から逃れようとしていた亜人達を匿っていたリアナの港町の領主を打ち倒したエルフ。彼もまた、領主に匿われていたにも関わら
ず、保身の為に領主を倒した。
この功績でルシエードは帝国から「名誉人間」として迎え入れられ、時には勇者とさえ呼ばれていた。しかし、数百年後、ダークエルフであるザーシェオ
ンに陥れられ、ルシエードは彼を恨む亜人達に惨殺される。
ケルシュ
500年前の魔族虐殺の生き残りの王子。
精霊王エリシェに助けられ、ダークエルフ達に預けられていた。彼が19歳になった年、数百年に一度の霊祭があり、ダークエルフの代表として精霊界に向
かったことで彼は魔族の王として生きなくてはならないことを知らされる。
精霊王より傷ついた闇の精霊メルク―ムを返却され、ケルシュは神族の跋扈する魔界へと帰還し、その地を治めていた神族ウリシューアを倒し、魔界を奪
還した。
その後は他種族の力も借り、当時の神族の王ユージアナを殺し、天空城を地上へと落としている。
乳兄弟 アレンシャフト
ケルシュと共に神族と戦った者は数多くいるが、最初から最後まで付き従ったのがケルシュを育てたダークエルフ夫婦の一人息子アレンシャフトである。
アレンシャフトはケルシュと共に霊祭に赴き、そこでケルシュの出生について聞かされる。そして傷ついた闇の精霊メルク―ムと共にケルシュを支え、魔
界へと下った。
ケルシュが神族を倒した後も、彼は魔界に留まり続け、ケルシュの補佐をしている。同じく魔界に留まることを選んだ人間の魔術師セラスと友誼を深めて
いるが、一方でセラスのことは何も知らない。彼がセラスについて知るのは、セラスが唐突に魔王城から消えてしまった後のことである。
聖騎士 カイラル
精霊王の怒りを解き、人間に再び精霊の力を取り戻す為、エイオス教皇領より霊祭に派遣された人間。同じく精霊の力を取り戻そうとする神族のファシド
と共に霊祭の場に忍び込むが、精霊達に気づかれそのまま処断されるところをエリシェによって止めら生き永らえる。しかし処断を免れる代わりに、ケル
シュの魔界奪取を手助けするように命じられる。教皇領の考えに染まっており反発していたものの、友人である魔術師セラス、そして同じ境遇であるファ
シドの説得を受け、承諾する。
やがて人間と神族の行いを知った彼は、自分が今まで信じていたものに幻滅し、魔王虐殺を行った張本人である勇者の首を切り落とす。その後、セラスと
もファシドとも別れ、彼の行く末を知る者はいない。
堕天使 ファシド
神族達から守護精霊ルクオーゼを精霊界より奪還することを命じられた白き神族。志を同じくするカイラルと出会い、共に霊祭に忍び込むが失敗。尤も、
ファシドは端からこの任務を成功させるつもりはなく、神族の魔界侵攻を止めようとする素振りさえ見せていた。また、本来「勇者」と「聖女」が持つは
ずであった光の剣を英雄獣ロトに手渡しており、ファシドの真意が何処にあるのかは誰にも分からない。
そもそもファシドという神族がどこからやって来たのかを、神族の王であるユージアナでさえ把握しておらず、果たして本当に神族であったのかさえ謎の
ままになっている。
ケルシュが魔王の座に就いた後は、英雄獣ロトによってエミュド公国へ封じられたと言われている。
霊術師 セラス
精霊フレミア処断後も魔法を使い続けることができた唯一の人間。それ故に教皇領に隔離され、聖騎士カイラルの精霊奪還任務に従うように指示された。
カイラルとは彼が騎士になった頃からの友人同士であるが、何故精霊がいなくても魔法が使えるのか、また自らが何者であるのかについてはカイラルにも
話した事はない。
実はその正体は、闇の精霊メルク―ムの分霊であり、遥か昔から魔界の闇の淵から離れることのないメルク―ムの代わりに世界を見てきた存在である。
光の精霊ルクオーゼが精霊王の牢獄から解き放たれ世界を光で塗りつぶそうとする時、彼はメルク―ムの元に戻り、再びの世界開闢を阻止しなくてはなら
ない。
英雄獣 ロト
魔族虐殺を行った教皇領と神族が、更に自分達の地位を高めようとエミュド公国に雪崩れ込んできた時、その大軍を押し戻した金の巻き毛が美しい鷹の獣
人。魔界に向かう前に他種族との同盟を結ぼうとしたケルシュと出会い、その際に堕天使ファシドから光の剣を手渡される。
彼は光の剣によって教皇領と神族を退けた後、ケルシュの恩義に報いるために魔界へ同行。ケルシュが魔王になった後は故郷であるエミュド公国に戻って
いるが、その際に神族としての立場のなくなったファシドを連れて帰ったと言われている。
ロトの系譜は今のエミュド公に連なっており、彼が使用した光の剣は今もエミュド公国に安置されているが、何故か鞘がなくなっており光の力も失われて
いる。
竜騎士 ダーゼリオン
竜族の長の子供の護衛であったが、武具の材料にするため勇者によって長の子供を殺され、自責の念に駆られ各地を放浪していた。勇者への復讐心は強い
が、それと同じくらいに勇者の武具を作ったドワーフ達への怒りも激しく、ドワーフを虐殺しようとしていたところをケルシュに止められる。
ケルシュが魔界へ向かい神族と対抗すると決めた時に真っ先に応じたが、神族だけではなく勇者を殺す機会も虎視眈々と狙っていた。最終的に勇者は聖騎
士カイラルに討ち取られるが、ダーゼリオンは勇者の首と、長の子供によって作られた武具を持ち去った。武具についてはドラグーンバレーにて幻獣に保
管されていると言われているが、勇者の首に関してはどうなったのかは分からない。また、ダーゼリオン自身についても不明である。
ユージアナ
500年前に魔族虐殺を起こした神族の王。
精霊王エリシェの転生を目の当たりにした際、その姿に心奪われた。しかしエリシェとは何の接点も持てず、一方で魔族は王子誕生の慶事の際に顕現され
ていたため、魔族への嫉妬と鬱屈が溜まっていた。
それを、同じく闇の精霊メルク―ムへの並々ならぬ感情を持っていたルクオーゼに察知され、共に魔族侵攻、虐殺を決める。
しかし一種族では魔族に対抗するのは不可能と感じ、当時より神族に信仰心を持っていたエイオス教皇国を利用して勇者と聖女を定め、魔族侵攻をそその
かした。
アーリフ
炎の精霊フレミアから炎の力を託され、魔王虐殺を行った「勇者」。
下級魔族の他種族襲撃から村を守っていた自警団の青年であり、魔族に対しての知識はほとんどない。ただ、魔族は他種族を襲うものという認識だけがあ
り、それ故に神族と教皇に利用され、勇者となった。
彼は精霊王の力を不当に使用し他種族の存在を脅かす魔王を斃すために、そのための武具を作るために竜を殺し、魔界の扉を開き、魔族を虐殺した。
彼は竜と魔族両方から唾棄すべき存在として扱われているが、人間達の中には今もなお彼を崇拝する者がいる。
アーリフの最期は、彼と同じく人間でありながら、神族と教皇のやり方に反対して魔王ケルシュに賛同した騎士によって首を刎ねられている。
ガーディン
常に戦火に曝されてきたエミュド公国を外敵から守った金獅子の獣人。
エミュド地方を手に入れようとしていたハトリウス帝国、精霊アイオートを奪おうとするマウティア国、獣人を獣として粛清すべきと考えるエイオス教皇
国との戦争すべてにおいて勝ち続けてきた常勝将軍である。
しかし傲慢な性格が祟り、王位継承権を持つほどの貴族でありながらもその力と性格を疎まれ獅子としての力を封じられ放逐されている。
放逐された彼が諸国を巡る物語は、冒険者シャードリアの紀行文「英雄奇譚」に描かれている。
グレイシス
ガーディンの従者である白子。シャードリアの「英雄奇譚」にのみその存在が描かれており、シャードリアの創作ではないかとも言われている。
そもそも白子は獣人達の間では、その姿からアイオートの化身と言われている。そういった存在が共にいるとすることで、ガーディンの英雄像をより強く
する狙いがあったのではないか、とされている。
一方、白子は過去から現在に至るまで、生贄として売り買いされている実態がある。ガーディンが白子達を保護していたという説もある。
シャードリア
諸国を遍歴していた冒険者であり、数多くの紀行文を残している。他国との交流の少ないエイオス教皇国や、マウティア国、果てはドラグーンバレーにつ
いても彼は幾つかの紀行文を残しており、歴史家達の学術対象となっている。
しかし彼の書く文書は時に劇場的であり、些か誇張されれている、信憑性が薄い、などの意見もある。特にその評価があるのが、シャードリアの紀行文の
中でも最も有名な「英雄奇譚」である。