人種


この世界の人種は、5つに大別される。
魚人、海人、河人、巨人、人間である。
なお、人間は此処から更に細かく分けられる。

●魚人
 創世神話において、一番最初に誕生したとされる生命体。
 その名の通り、魚から進化した存在である。
 外見は、魚の顔に人の足を持っていることが多いが、基本的に手はなく腹びれがある。
 陸に上がることもできるが、肌は熱に弱いため、水の中で生活する者がほとんどである。
 その為、他種族との交流はあまりないが、七賢人であるアルフォンス・アレのように陸に上がり、他の人種と暮らすことを選ぶ者も稀にいる。
 ただし、光の帝国には、ほとんど寄り付かない。
 光の帝国は、人間以外は被差別民として取り扱っているためである。



●海人
 魚人から進化したとされる人々。
 外見は、一見すると人間と同じに見えるが、手や耳にひれがある。
 肌は浅黒く、皮膚の所々には、鱗が残っている。
 髪は銀で眼は金であるものが多い。
 魚人ほどではないが潜水能力に優れており、また魚人よりも陸での生活に適しているため、海辺に集落を作り、海で獲れたものを
 他種族に売ることで生活している。
 しかし、魚人と同じく被差別民であり、シウテアトル大陸では海辺のスラム街で暮らしていることが多い。



●河人
 魚人が川を遡り、そこで進化したとされる人々。
 外見は海人よりも人間に近く、ひれはより小さく、鱗はほとんどない。
 ただし、鱗の名残のような黒い模様が身体にある。
 肌は透けるように白く、髪は金、眼は青く、美しい外見をしている。
 しかしやはりシウテアトル大陸では被差別民として扱われ、その外見から奴隷として取引されることもある。



●巨人
 以前は全世界にいたが、現在はウルミル大陸にのみいる種族。
 外見は、巨大な樹木である。
 非常に長生きで、知性も高いが、一方で成長するまでに時間がかかるため、徐々にその数を減らしていった。
 光の帝国では被差別民として扱われているが、そちらに彼らが出向くことはない。
 ウルミル大陸にある森深い彼らの王国でのみ、彼らは暮らしている。
 他種族とはほとんど交流はないが、多種族国家サンギスには、若者が出向くことがある。



●人間  創世神話において、最後に誕生した種族。
 現在の世界において最も人口が多い。
 また、人間の中でも更に細かに種族は分けられる。

 <スタンディア人>
 所謂、一般的な『人間』。
 世界に暮らす大半の人間が、スタンディアに属する。
 身体を鍛えることや勉学により、筋力や器用さ、知識を得て、生きる糧にする。
 魔法などの特殊な力は使えない。
 
 <ブラッドストン人>
 身体に魔石を持つ人々。
 創世神話では、彼らこそ『世界の血』の力を最も強く受け継いだ存在とされている。
 魔石により己の中にある魔力を制御し、魔法を使う。
 魔石は普通は一人のブラッドストンに対して一つしか現れないが、実は他者の魔石を奪い、己の者とすることで力を増強できる。
 従って、魔石により際限なく魔力を高めることが可能だが、逆に魔石を失うと魔力の制御ができなくなり自滅する。
 また、魔石自体を上手く扱えなくては、自分の中に流れる魔力の大半を制御できず、微弱な魔法しか使えない。
 光の帝国はブラッドストンの国家であり、ブラッドストン以外の人種(ブラッドストンではない人間も含める)は、
 ブラッドストンの使用人として生活するしかない。
 光の帝国に暮らさないブラッドストンは、象牙の塔と呼ばれる魔術学校に入り、魔石の使い方を学ぶことが多い。
 なお、光の帝国の王族は、一人で無数の魔石を現すことがある。

 <アマゾニア人>
 女性にのみ魔力が現れる人々。
 所謂、魔女。
 ブラッドストンとは異なり、魔石に寄る魔力制御は必要としない。
 魔力は母から娘へと継承され、母娘の力は非常に似通ったものとなる。
 魔力は女児にのみ受け継がれ、男児はスタンディアとなる。
 夫が人間以外、例えば河人や海人であっても、女児はアマゾニアとなるが、男児は魔力は示さない。
 ウエウチャナ大陸を支配しており、極寒の大地であっても彼女達の魔力によって人が生活できるものとなっている。
 完全に母系社会であり、一妻多夫制。
 また、男による通い婚、夜這いも続けられている。
 その為、光の帝国からは淫婦と蔑まれている。

 <ティアズ人>
 ブラッドストン、アマゾニアよりも格段に劣る魔力を持つ人々。
 その魔力は微弱であるため、普通に暮らしている限りでは決して発現しない。
 ただし、修行や勉学により、魔力を鍛え知識を得ることでその才能を開花することができる。
 ティアズで魔力を開花させた者は、自己研鑽の賜物か、己の魔力をはっきりと見極めていることが多い。
 その為、他の魔法使いよりも魔力は微弱ではあるが、その魔力を組み合わせにより補強する。
 其々が独自の魔法を使うことが多いため、ティアズの魔法は、かけた本人でなくては解けないとさえ言われている。
 魔力が発現せずとも、非常に器用であることから、技術者として生活している者が多い。
 彼らの大半は神涙皇国、もしくはマベラス国出身である。

 <ドラグーン人>
 その名の通り、龍人と呼ばれる人々。
 外見はほとんど人間と変わらない。やや体格が良い程度である。
 ただし、筋力や魔力は人間よりも優れている。
 また、彼らは他の種族と共鳴することができ、時にはドラゴンでさえその配下に置いたとさえ言われる。
 彼らと交わった者は、僅かながらではあるがこの共鳴の力を得るとされている。
 その人口は非常に少なく、外見での判断も不可能であるため、彼らの生活拠点は全くの不明。