眼が覚めると、腕の中にサンダウンの頭があった。
  いつもなら、マッドのほうがサンダウンの腕に囲われて眠るのだが、昨夜はマッドがサンダウン
 の頭を抱きかかえるようにして眠った。両腕でサンダウンの頭を抱き締め、その顔を自分の胸元に
 引きこんだマッドに、サンダウンは特に何も言わず、代わりにマッドの腰に腕を回した。

  普段と違う行動をしてみせたマッドの意図を、おそらくサンダウンは気付いていたに違いない。
 マッドの昔の友人にサンダウンが命を狙われた事について、マッド自身が不思議なくらい衝撃を受
 けていた。
  サンダウンが命を狙われる事など今更だ。5000ドルの賞金は、少しでも銃の腕に覚えのある輩な
 ら一度は挑戦してみたいと思うだろう。
  けれども今回サンダウンを狙ったのは実戦というものを知らぬ斜陽貴族であり、その腕も罠も稚
 拙だ。そんな輩に命を狙われたからといって、サンダウンの身に危険があるかと言えば全くないに
 等しい。
  しかし、マッドにはその危険を、僅かなりとも呼び寄せたのが自分であるという自覚がある。サ
 ンダウンにとっては児戯にも等しい危険であると分かっていても、マッドは自分の所為でサンダウ
 ンに危険が及ぶなど、あってはならない事だと思っている。

    だから、夕闇が押し寄せてきて、全ての影の輪郭がなくなる死に最も近い時間、サンダウンを抱
 き締めた。庇うように頭を抱き締めて包み込んで、何処かの凶弾がサンダウンに死を齎さないよう
 にと、抱え込んだ。
  それはサンダウンを守る為と言うよりも、マッド自身の不安を掻き消す為の行為と言った方が正
 しい。
  けれどもサンダウンは何も言わず、マッドの好きなようにさせていた。
  何処までもマッドを甘やかす男は、自身の命を守るという行為さえ結果的に自分の為にしてしま
 うマッドを、あっさりと許してしまったのだ。それをマッドは甘んじて受け入れて、サンダウンに
 しがみ付く。

  そして、眼が覚めて一滴の血も流れていない事に安堵した。
  ゆっくりと身を起こし、そういえば今日もまた返事を聞きにくると言っていた事を思い出し、マ
 ッドは眉を顰めた。
  何度返事を聞いたところで、マッドの気持ちが変わる事はない。
  マッドは今更かつての貴族連中とつるむ気持ちは毛頭ないし、彼らがこれから何をしようとして
 いるのかは知らないけれど、その先頭に立つつもりもない。
  マッドはこのアメリカ西部の荒野で、これからもずっと賞金稼ぎとして生きていくつもりだ。そ
 れを止めようとは思わないし、西部を離れる気もない。今まで此処で、マッドは貴族という血脈に
 縛られる事ない自らの立ち場を確立していった。それを手放すなど論外であるし、何よりも此処に
 はサンダウンがいる。サンダウンから離れる考えなど、サンダウン自身から切り出されない限り、
 マッドには思いもよらぬ事だった。

  だから、どれだけ彼らが答えを求めに来ても、マッドの意志は揺るがない。しつこく食い下がら
 れても、マッドはこの乾いた大地から離れるつもりはないのだ。
  それを、改めて口にして、果たしてあの頭の固い、未だに貴族の地位に固執している彼らに、理
 解できるだろうか。
  しかも、とマッドは内心で溜め息を吐く。よりにもよって、一番頭の固いジェイコブがいるとき
 たものだ。経験なクリスチャンである家系に生まれたジェイコブは、子供の頃から人一倍頑固だっ
 た。盲目的に聖書を読みこみ、信じ、自分達の優位性を疑わない。そんなのでは、この荒野では生
 きていく事など出来ないに違いないのに、何故此処にやってきたのか。
  それを言ってしまえば、他の連中にしても同じ事だった。
  クリフとセドリックは奴隷貿易で財を成した家系だ。奴隷解放を名目とした南北戦争の暁には、
 それらの財は全て没収されてしまった。それでも矜持だけは失わず、食うにも困っているはずなの
 に、彼らの父親と共に社交界には顔を見せていた。そんな彼らの事だから、西部である程度の人権
 を得ている黒人達を見るのは不愉快に違いなかった。それは、直に顔を合わせていないが、オージ
 アスとキャサリンも同じのはず。
  そして、グロリアは。
  マッドと同じく、音楽家の血を受け継いだ彼女は、マッドと同じ末路を辿ったはずだ。マッドの
 場合は母方だけだ音楽家で、父親は戦争の折に死んでしまったが貿易などではなく弁護士などで地
 位を確立した家系のおかげで、なんとか食うには困らなかった。
  しかし、グロリアは純血だった。父方も母方も音楽家であった彼女の家は、南北戦争終了後の荒
 廃の最中には不要のものと見なされ、あっと言う間に分断されてしまった。家財を切り売りしなが
 ら、しかし楽譜だけは売らなかったというのが、彼女の憐れな自慢話だった。
  そういえば、とマッドは思い出して少しばかり不愉快になった。
  マッドが大学を出て、そのまま荒野に流れていった時、それを止めようとしたのはマッドの母親
 だけではなかった。確か、何処でそれを嗅ぎつけてきたのか、グロリアもそれを止めようとした。
 自分を捨てるのか、と、まるで母親と同じような事を口にして。

 「マッド。」

  顔を顰めた事が、サンダウンに伝わったようだ。腕の中で大人しくしていたサンダウンが、低く
 問い掛けてきた。もしかしたら、眠っているように見せかけて、実は眠ってなどいなかったのかも
 しれない。 
  そっと腰に回していた腕が背骨を撫で、マッドは一瞬だかそれに息を詰めた。むろん、サンダウ
 ンはその行動にいつものスキンシップ以上の意味を含ませてはいなかったのだろうが、けれど子供
 ではなく大人になったマッドにとっては、少しばかりきつい刺激があった。
  が、サンダウンはそんなマッドに気付いていないようだ。

 「…………マッド。」

  どうかしたのか、と問う代わりに名前を呼ぶサンダウンに、マッドは小さく呟く。

 「あの、斜陽貴族の中に、一時期婚約関係にあった女がいた。それを思い出しただけだ。」

  ぴくり、と背中を撫でるサンダウンの手が止まった。そして、回っていた腕に力が込められる。
 その意味は、マッドには分からない。

 「と言っても、俺がガキの頃に向こうの親が勝手に決めただけで、俺の親父はさっさと破棄しちま
  ったけどな。」

  けれども相手方は――グロリアはその事を忘れてはいなかったのだ。マッドが荒野へと流れてい
 く事を知った彼女は、マッドを詰ったのだ。自分はどうなるのか、と。既に婚約があった事さえ忘
 れていたマッドは、それを聞いた時、あんぐりと口を開けた事を思い出した。開いた口が塞がらな
 い、とは正にあの事だろう。

 「もしも、それをまだ引っ張るってんなら、ちゃんともう切れてるって事を言ってやらねぇとな。」

  マッドはグロリアの事など忘れていた。そもそも既に破棄された関係だ、マッドには何も負うと
 ころはない。それはグロリアに限らず、他の連中にしても同じ事だ。むろん、かつての使用人だっ
 たケイトについても。

 「………行く必要があるのか?」

  サンダウンの問いに、マッドは薄く笑った。それは自嘲に類する笑みだ。

 「俺が行かなきゃ、あいつらは延々追いかけてくるぜ。」
 「行っても、聞かなければ、また追いかけてくるだけだろう。」
 「でも、一応、行くだけ行ってみるさ。効果がなけりゃ、効果がある方法を後で試せば良い。」

  それは、酷く物騒な物言いだった。けれども、言っても聞かぬしつこい貴族達を振り払う方法な
 ど、互いに一つしか知らない。
  サンダウンはマッドを見つめて、それ以上制止の言葉を口にする事は止めたようだった。代わり
 に別の問い掛けをする。

 「………私も、行くべきか?」

  それは、紛れもなく保護者が初めてお使いに行こうとする子供にするような問い掛けであった。
 だから、マッドは首を横に振る。その必要はない、と。

 「言うだけ言って、さっさと帰ってくるさ。しつこかったとしても、どうせ素人だ。撒いて逃げら
  れる。」

  そう告げたマッドに、サンダウンは少しばかり不服そうな様子を見せていたが、しかしそれ以上
 執拗に食い下がる事はなかった。ただ、ぎゅっといつものように抱き締めて、危ないと思ったらす
 ぐに逃げるように、と囁いて、頬を一撫でしてからそっとマッドの身体を解放した。





  じっと見つめるサンダウンを宿に置いて、マッドは昨日訪れた裏路地へと脚を運ぶ。
  話し合いをする為ではない。一方的に別れを告げる為だ。例え誰が泣き崩れようとも、誰がこれ
 からの事について自慢げに話そうとも、マッドの意志が変わる事はない。
  それは、わざわざ自分に言い聞かせる事ではなかったから、マッドは自らの心変わりを恐れる事
 はなく、うらぶれた酒場を訪れた。汚れたカウンターの中でグラスを拭いている男に、彼らの場所
 を尋ねると、男は面倒臭そうに酒場の奥にある部屋を顎で指し示した。
  マッドが泊っている宿よりも更に格下の部屋が並ぶそこは、斜陽貴族達にとっては我慢ならない
 場所であろうはずなのに、それでも此処にいる彼らの気が、マッドには知れない。そうまでして西
 部に来た理由が、分からない。
  それほどまでに、一体何を欲しているのか。

  だが、貴族の身分など既に捨て去って久しいマッドには、彼らの考えなど全くといって良いほど
 思いもつかなかった。
  思いもつかない事をいちいち考える趣味は――仕事でもない限り――マッドにはない。
  示された薄っぺらい扉をノックし、自らの到来を告げる。すると、物凄い勢いで扉が開いた。そ
 こに広がった分厚い肉の壁にマッドが立ち尽くす暇も与えず、その肉の壁はマッドに太い腕を伸ば
 すと一気に部屋に引き摺りこんだ。

 「何しやがる!」

  引き摺りこまれてやっとマッドが叫んだ時には、その身体は投げ飛ばされていた。幸いにしてベ
 ッドの上に投げ出された身体は、それほどの痛みを感じなかったが、しかしベッドの上である事に
 別の意味である種の危機感を覚える。それと、次いで耳に聞こえてきた鍵の音が。
  その鍵の音が警鐘に聞こえ、マッドは跳ね起きようとする。
  だが、ベッドの両脇に待ち構えていたらしいセドリックとクリフの腕が、それを抑え込もうとし
 てマッドの両肩を掴んでベッドに引き戻す。

 「てめぇら………。」

  マッドの眼に険が宿るのを、脚を抑えに掛かったオージアスが覗き込む。

 「久しぶりだな。」

  茶色の眼に除きこまれてそう告げられたマッドは、その顔に思い切り唾を吐きかけた。この男が
 サンダウンに銃を撃ちこもうとした事を思い出したからだ。
  唾を吐きかけられたオージアスは、生来の癇癪持ちを思い出したかのように、マッドの脚を掴む
 手に力を込める。

 「随分な挨拶じゃないか……!久しぶりに逢った仲間に……!」
 「うるせぇな。だったら昨日の時点で顔見せりゃあ良かっただろ。陰でこそこそしたりせずによ。」

  暗に、お前がサンダウンを狙撃した事はしれているのだと告げてやると、セドリックとクリフの
 顔色が微かに変わった。まさか、マッドに知れているとは思っていなかったのか。
  あまりの間の抜けた様子に、マッドは本気で呆れた。

 「てめぇらに、あの男が殺せるわけがねぇだろうが。てめぇらの銃の腕は、昔から鈍らだったから
  な。何の為にあの男を狙ったのかは知らねぇが、あいつを追いかけるのはやめときな。これ以上
  あいつを狙うようなら、俺が相手になってやるぜ。」

  きっぱりと決別を示唆する言葉を放ったマッドに、マッドをベッドに放り込んで以降、扉の前に
 佇立していたジェイコブが、うらぶれた空気を割って近付いてきた。その様子は聖職者と言うより
 も、傭兵の姿を思わせた。

 「女相手になら、どうだろうな。」

  そう告げたジェイコブに、マッドは眼を見開く。そして、今更ながら、辺りに女達がいない事に
 気が付いた。

 「女相手に、銃を引き抜けるかな。まあ、いずれにせよ、お前があの男に逢う事はもうないだろう。
  お前は今夜、俺達と共にこの町を去って、ヴァージニアにまで行くのだからな。」
 「………何勝手な事ぬかしてやがるんだ、てめぇは。」
 「勝手なのはお前だ。」

  眉を顰めたマッドに、ジェイコブは苦々しげに言い放った。

 「お前は俺達の王だっただろう。いつも俺達の中心に居て、俺達を魅了していただろう。それなの
  に、俺達を見捨てて西部なんかに流れた挙句、あんな何処の馬の骨ともしれない男に身体を任せ
  て。恥ずかしいとは思わないのか!」

  ジェイコブの太い腕がオージアスを押しのけ、マッドの胸倉を掴む。そしてもう片方の手は、は
 っきりと意図を持って、マッドの下半身へ。

 「おい……姦淫は邪悪なんじゃなかったのかよ?」

  ベルトを外し始めたジェイコブと、それを見てジャケットを脱がせようとし始めたセドリックと
 クリフ達に、マッドは冷ややかな声を吐く。しかしそれをジェイコブは一蹴した。

 「今更だろう。それに、これはお前をこの暗黒の地から引き離す為の行為だ。」
 「はっ、何手前勝手な事ぬかしてんだ。昔っから、俺をそういうふうな眼で見てきた癖に。」

  マッドの辛辣な、けれどもしっかりと罪を穿つ言葉に、男達の手が一瞬ぴくりと止まった。クリ
 フは怯えたようにジェイコブを見て、セドリックは頬を打たれたかのようにマッドから眼を逸らす。
 オージアスは唇を震わせて言葉を探している。
  そんな彼らの様子に、マッドは鼻先で嗤った。

 「まさか、俺が気付かねぇとでも思ってたのか?てめぇらに欲望の対象と見られて、この俺が、気
  付かなかったとでも?隠し事の下手な、てめぇらが?」

  ジェイコブの眼が鋭くなる。その下では、彼の属性を示す十字がちかちかと光っている。しかし
 それはジェイコブの罪を咎めていると言うよりも、より激しく鼓舞しているようであった。それほ
 どに、彼は盲信的だった。
  神に対しても、マッドに対しても。

 「ああ、そうだ。俺達は全員、お前に対して欲望を持っていた。それでも、お前が俺達に笑い掛け
  てくれるというのなら、その欲望がいくらでも抑え込めた。だが、お前はそうしなかった。それ
  どころか、俺達以外の男のものになろうとしている。」

  それを止めようとして、何が悪い。

  悪びれもせずにそう言った男は、ベルトを弄っていた手を再開した。片脚を掴み上げて脚を開か
 せ、布越しに股間を擦り上げる。両脇に位置した男達はシャツを引き千切るようにして肌蹴させる
 と、そこから覗いた胸の尖りに興奮したように手を伸ばしてきた。

 「一つだけ聞いていいか?お前らが、こうする事を、グロリアとケイトは知ってんのか?」

  一時婚約関係にあった女と、忠実な僕の顔をした女。その名を口に出しても、聖職者の表情に変
 化はなかった。

   「むろんだ。彼女達も納得済みの行為だ。お前を取り戻せる為なら、何をしてもかまわないと、そ
  れほどまでに我々は覚悟している。あの男の所為でお前が此処に残ると言うのなら、どんな手段
  を使ってでも殺してみせる。」

  それとも、とジェイコブは聖職者らしからぬ嗤笑を、その顔に浮かべた。その顔こそ、実はジェ
 イコブに相応しい。

 「お前が我々と共に来ると言うのなら、あの男を助けてやっても良いが。」
 「寝言は寝て言えよ、聖ヤコブ。」

  尻を高く持ち上げて、それを撫でている男に、マッドはわざわざ列聖人の名で呼ぶ。

 「てめぇは天使に勝てるかもしれねぇが、魔王に勝てるかどうかは分からねぇだろうが。助けてや
  るなんて、上からの物言いができるなんて思うんじゃねぇぞ。」
 「なるほど……ならばお前はサタンの誘惑に負けた救世主か。」

  荒野に焦がれ、人に戻らないお前は。 

 「あの男は、それほどに甘美だったのか。背徳に溺れる誘惑に勝てないほどに、その身体に姦淫の
  印を刻まれたのか!」

  悲鳴のような声を上げ、ジェイコブはマッドの下着ごとズボンを引き摺りおろす。そして現れた
 形の良い双丘を割るようにして、マッドの体内へと通じる門を露わにする。まるで、マッドの身体
 に覚えこまされたであろう快感を探すように。
  男に身体を弄られるというその行為に、マッドは想像以上に不快感を覚えながら、しかしとんで
 もない勘違いを――人間は自分の考え方によって他人の行為を推し量ると言うが、ジェイコブのそ
 れは正にその典型だ――している男達に、一言、サンダウンの名誉の為にも言ってやらなくては気
 が済まなかった。

 「全ての人間が、お前らと同じように俺を見てると思うんじゃねえ。」

  彼らは、サンダウンがマッドを自分達と同じように扱っていると思っている。だから、その穢れ
 を払う為に、敬虔な信徒である自分達を受け入れさせようとしている。
  だが、この論法は完全に間違っている上に、そもそも、最初の考え方からして、誤りだ。

  マッドは、サンダウンに欲で貫かれた事など、ない。

  サンダウンの腕の中に囲まれて眠った事はあるけれども、それらは全て穏やかな抱擁で、サンダ
 ウンはマッドを甘やかすだけだった。慈愛に満ちたそれらは、今現在、マッドが陥っている状況か
 らは程遠い。
  マッドがサンダウンに惹かれているのは事実だ。キリストのように、荒野の悪魔に抗う事はマッ
 ドには出来なかった。けれどもその結末は、信者が悲嘆にくれるような、少なくともマッドにとっ
 ては破滅や破綻ではなかった。 
  仮に、もしも破滅が起きてしまったというのなら、それは悪魔の所為ではなく、盲信的な、しか
 も欲望に満ちた信徒の所為だ。
  少なくとも、悪魔は信徒のように欲望に任せてマッドを襲う事はなかったし、マッドを金の仔牛
 のように扱って、飼っては夢を見る事もなかった。サンダウンはサンダウンのままで、昔と同じよ
 うにマッドを愛したのだ。マッドが、じれったく思うほどに。
  にも拘らず、彼らは驕り高ぶって、自分達と悪魔は同列だと言う。同じ欲望を持っているから、
 その欲望を弾けさせても良いのだと。
  どこからどう見てもサンダウンとは違う貴族どもに、マッドの眼に怒りが籠った。

   「てめぇらと、サンダウンを同列に扱うんじゃねぇ……!」